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「逮捕」とは,被疑者の身体を強制的に拘束し,指定の場所に引致することをいいます。
逮捕手続きには,「令状による逮捕」(「通常逮捕」「緊急逮捕」)と令状にもとづかない「現行犯・準現行犯逮捕」とがあります。
前述のように,逮捕には,「令状による逮捕」(「通常逮捕」「緊急逮捕」)と令状にもとづかない「現行犯」「準現行犯逮捕」とがあります。
【通常逮捕】
その名の通り通常の逮捕のことです。簡単に言うと,警察官が令状をとって,その令状にもとづいて逮捕することをさします。
通常逮捕の要件は,「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」です。
ここで,逮捕の理由とは,「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある」場合をいいます(刑事訴訟法199条1項)。
一方,逮捕の必要性についてですが,逮捕の理由が認められれば,明らかにその「必要」がないと認めるときをのぞき,逮捕状が発布されます。
刑事訴訟規則第143条の3では,「被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし,被疑者が逃亡する虞がなく,かつ,罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるとき」は逮捕状請求を却下しなければならないと規定されています。
なお,30万円以下の罰金,拘留または科料にあたる罪については,逮捕できるのは,被疑者が住居不定の場合,または正当な理由なく出頭の求めに応じない場合に限られます。
【緊急逮捕】
緊急逮捕とは,緊急のため逮捕令状なくして被疑者を逮捕し,逮捕後に一定の手続を求めることをいいます。緊急逮捕の要件は下記のとおりです。
①一定の重大事件(死刑または無期もしくは長期3年以上の拘禁刑【※】にあたる罪)
②充分な嫌疑がある
③急速を要し逮捕状を求めることができない,また,必要性もある
④事後に「直ちに」逮捕状請求の手続きを行う
通常逮捕と異なり,事前に令状はとりませんが,事後に逮捕状請求の手続きを行います。
【※】拘禁刑とは,2022年6月17日公布の改正刑法により,従来の懲役と禁錮を一本化したものとして創設された2025年6月1日施行の新しい刑の種類です。
【現行犯逮捕】
現に罪を行い,または現に罪を行い終わった者を現行犯人といい,「何人でも」令状なしで逮捕できます。
【準現行犯逮捕】
刑事訴訟法212条2項は,「左の各号の一にあたる者が,罪を行い終ってから間がないと明らかに認められるときは,これを現行犯人とみなす。」として,準現行犯逮捕について規定しています。そして,準現行犯逮捕の要件は,「212条2項各号の事実とその認識」,「犯罪と犯人の明白性」,「犯罪と逮捕との時間的・場所的接着性とその明白性」であると説明されます。
ここで,212条2項各号の事実を列挙すると下記のとおりです。
①犯人として追呼されているとき
⇒犯人として追われ,又は呼びかけられてる状態を言います。
②贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき
⇒「贓物(ぞうぶつ)」という難しい単語が出てきましたが,簡単に言うと盗品または明らかに犯罪に使用したと思われる凶器などを所持しているときをいいます。
③身体または衣服に犯罪の顕著な証跡があるとき
⇒体や服・帽子・くつなどに犯罪の痕跡が認められることをいいます。
④誰何(すいか)されて逃走しようとするとき
⇒呼び止められて逃げ出すような場合をさします。
逮捕されてしまった人は,「被疑者」と呼ばれ,警察は被疑者を逮捕してから48時間以内に,被疑者を釈放するか,事件を検察官に送致するかを決めます。
検察官は送致を受けると24時間以内に,被疑者を釈放するか,裁判官に勾留を請求するかを決めます。したがって,勾留されるまでは,最大で72時間しか時間がありません。
そして,裁判官が勾留の決定をすると,通常であれば被疑者は最大20日間勾留されます。その後,検察官が起訴相当と判断すると,通常,保釈が認められない限り裁判終了まで出ることはできません。
通常,ご家族の方(弁護人以外の者)は逮捕中の被疑者との面会が認められません。逮捕後に勾留されると面会が認められます。もっとも,家族の方と面会ができるといっても,警察官等の立会いや時間制限のもとで面会が認められるにすぎません。なお,裁判官は逃亡や罪証隠滅を疑うに足りる相当な理由がある場合には,検察官の請求により又は職権で,勾留されている被疑者の方と接見を禁ずることができます。つまり,ご家族との面会を禁止されることがあります。
一方,弁護士との面会は原則として自由で,警察官等の立会いや時間制限もありません。逮捕・勾留されている方は,長い取調べに耐えなければならず,精神的に参ってしまうことも多々あります。
このような状況下で取調対応を誤り,取り返しのつかない事態を招くおそれも少なからずあります。速やかに弁護士を派遣することで,身体拘束を受けている方に今後の手続きの流れ・見通し,取調対応などをアドバイスすることが重要となってきます。
| 弁護士による接見 | 一般の方の接見 |
---|---|---|
接見日時 | 土日祝日も可能 | 逮捕中72時間は接見不可 月曜から金曜の平日に限定 |
接見時間 | 制限なし 夜間等も可能 何時間でも面会できる | 制限あり 例えば,朝9時から夕方5時頃まで 約15分間(回数は1回のみ)など |
接見方法 | 被疑者と2人きりで面会可能 (警察官の立会いなし) | 警察官の立会いあり |
接見日時 | 接見禁止とされても弁護士は自由に面会できる | 面会ができない |
警察官が自宅にやってきて逮捕状を示したうえでご家族を連れていった場合,逮捕にあたるといえます。 一方,警察官から逮捕状を示されなかった場合には,任意同行,任意での事情聴取を求められた可能性が高いです。任意同行の場合,事情聴取後に帰宅できる場合と逮捕に移行する場合があります。なお,自分で費用を捻出する私選弁護士であれば,(逮捕の前後を問わず)いつでも弁護士を選任することができます。
藤井寺法律事務所では,初回接見サービスを提供しております。ご家族・お子様が逮捕された場合には,一度接見に行かせていただき,ご本人様に今後の見通しや対応方法を説明させていただき,ご家族様には,ご本人様の様子を報告させていただきます。
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