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少年審判とは,簡単にいうと家庭裁判所が行う判断(成人で言うところの裁判のようなもの)です。
少年審判には大きく4つの判断(①不処分②保護処分③試験観察④検察官送致)があります。
家庭裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができず、又は保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨の決定をしなければならず,「不処分決定」といいます。
今回に関しては何らかの処分をする必要がないという判断であり,家裁送致され審判が開かれる事件については,弁護士(付添人)としてまずこれを目標に努力します。
「保護観察」「児童自立支援施設または児童養護施設送致」「少年院送致」が挙げられます。
少年法25条によると,家庭裁判所は,保護処分を決定するために必要があるときは,少年を相当の期間家庭裁判所調査官の観察に付することができると規定されています。これを試験観察といいます。
試験観察が選択される場合としては,
①非行事実が重大とは言えない,または少年の非行性がそれほど進んでいないなど,事案の具体的内容や少年の資質等に鑑みて,保護観察や不処分が見込まれるものの,社会内処遇を適切かつ効果的なものにするため,家庭裁判所の観察と指導のもと,一定期間環境調整を継続させることが必要と考えられる場合,
②少年の資質や非行事実の内容等に照らすと,施設収容処分の可能性が相当程度見込まれるとしても,試験観察期間中の少年の努力や環境の調整・改善などにより要保護性が減少し,社会内更正ができると期待される場合です。
試験観察は,保護処分の要否等を決定するための中間的処分です。試験観察には,在宅のまま調査官が観察を行う場合(在宅試験観察)と適当な施設,団体,個人等に補導を委託して行う場合(補導委託)とがあります。補導委託のうち,少年の身柄を保護者等のもとではなく,委託先に置き,そこで生活させる場合を「身柄付補導委託」と呼びます。これに対して,補導委託のうち,少年の身柄を保護者等のもとに置いたまま,委託先に補導のみを委託する場合を「在宅補導委託」と呼びます。単に「補導委託」というときは「身柄付補導委託」を指す場合が多いです。
なお,身柄付補導委託の委託先は,次のような3つにわけて考えることもできます。
①専従型
委託先が少年と起居をともにしながら生活訓練を中心に指導する場合をいい,委託先として「個人の家庭」「寺院」があげられます。
②職業補導型
委託先である自営業者が,住み込み従業員のような形で少年を補導する場合
③外勤型
委託先に寄宿しつつ,委託先とは別の外勤先で就労し,自活力を養わせる場合
児童自立支援施設は,不良行為をなし,またはなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ,または保護者の下から通わせて,個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い,その自立を支援し,あわせて対処した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設です。
児童自立支援施設においては,解放処遇の原則が採用されており,施錠された部屋に少年をいれることはできません。なお,児童自立支援施設の入所児童の平均年齢はおよそ14歳くらいであり,中学生を中心とする義務教育中の者が大半を占めているのが現状です。
少年審判で児童自立支援施設送致となるか否かの判断要素としては,年齢,少年の家庭環境,非行の原因,背景,非行の内容,非行性の程度などが挙げられます。年齢の要素では,中学3年生の2学期頃をすぎると児童自立支援施設送致の可能性は低くなります。
また,家庭環境の要素では,非行内容や非行性の程度からは保護観察が相当な事案であっても,親権者が養育を放棄していたり,少年を虐待していたりするなど家庭環境の問題が根深い場合には、児童自立支援施設送致が選択されることがあります。
さらに,非行内容や非行性の程度については,常習的な薬物依存や深刻な性非行のある場合には,児童自立支援施設での開放的処遇は困難であるとして,少年院送致が選択される場合が多くなるといえます。
一方,少年院は,児童自立支援施設と異なり閉鎖施設です。
少年院送致の目的は,矯正教育にあり,少年の健全育成・育てなおしの理念の下での処遇が実施されています。
少年刑務所は,懲役又は禁固の言い渡しをうけた少年の刑を執行するために設けられた刑事施設として設置された機関です。全国に7施設(川越・松本,姫路,奈良,佐賀,盛岡,函館)設けられています。少年刑務所では,20歳未満の少年を収容すべきことを原則としています。
少年刑務所は,刑を執行する刑事施設であり,犯罪行為についての道義的責任を問い,また犯罪者の改善攻勢を図ることを目的としています。
一方,少年院の目的は,矯正教育にあります。少年の健全育成・育てなおしの理念の下での処遇が実施されています。
令和4年4月1日から施行された少年法では,現在,20歳未満としている「少年」の定義は維持した上で,18歳・19歳の者について,少年法の適用対象である「少年」と位置づけ「特定少年」と呼ぶこととしています。
そして,原則として,特定少年についても,現行少年法の基本的枠組みを維持していますが,例えば,次のような特色があります。
処遇選択のポイントを説明します。
3つのポイントの中でも「犯罪的危険性」は重要なウエイトを占めます。
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