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落ちている財布を拾って自分の物にすると犯罪になるの?

誘惑に勝てず

藤井寺法律事務所では,毎月多くの方からご相談をいただいております。

羽曳野市在住のAさんが,公園のベンチに落ちているVさんの財布を盗ったとして,「窃盗罪」の嫌疑がかけられている事例があるとします。

この事例において,Vさんは,財布を置き忘れてから3分後にベンチに置き忘れたことに気がつきました。

置き忘れたのに気が付いてから5分後に財布をベンチに取りにかえったところ,財布はもうありませんでした。

Aさんは,たまたま公園に散歩にきていて,Vさんが財布をベンチに置き忘れたところを目撃していました。

Aさんはその財布を見ていると,つい魔が差してVさんが気づいて戻ってくる前に財布を自分のものにしようと思って盗ったとのことです。

この事例において,Aさんは置き忘れた財布を拾ったにすぎないのに窃盗罪になるのでしょうか。テレビなどでよく耳にする遺失物等横領罪にすぎないのでしょうか。

(上記事例は,フィクションです。)

窃盗罪と遺失物等横領罪

上記事例をもとに,今回は窃盗罪と遺失物等横領罪について簡単に説明します。

【刑法235条(窃盗)】

他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処する。

※拘禁刑とは,2022年6月17日公布の改正刑法により,従来の懲役と禁錮を一本化したものとして創設された2025年6月1日施行の新しい刑の種類です。

【刑法254条(遺失物等横領罪)】

遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

1.窃盗罪

簡単にいうと他人の意思に反して,他人の占有する財物を,自己の占有に移転させることをいいます。
「万引き」「スリ」「ひったくり」「置き引き」「空き巣」「自動車荒らし」等は,刑法の窃盗罪にあたります。

2.遺失物等横領罪

占有者の意思に基づかず、行為者の占有に属する他人のもの領得する行為,または,委託信任関係にもとづかず,占有している他人のものを領得する行為をさします。

3.窃盗罪と遺失物等横領罪の区別

ポイントは,Vさんには置き忘れた財布に占有が及んでいるかという点です。

窃盗罪は「他人の占有」する財物を他人の意思に反して取得する場合に成立する犯罪です。そこで,Vさんが財布を置き忘れた場合にその財布に対して占有が及んでいるのかが問題となります。

ここで、占有とは、人が財物を事実上支配し、管理する状態をいい,占有の事実と占有の意思を要素とします。

具体的には,

①時間的・場所的近接性

②置き忘れた場所の見通し状況

③置き忘れた場所の状況

④被害者の認識・行動

⑤被告人による目撃状況,などを総合考慮して判断します。

例えば,本件においてAさんが公園にいてVさんが公園に財布を置き忘れたのを見ていたとして,Aさんがベンチに財布を置き忘れてから2分後に財布を持ち去る一方で,Vさん自身は3分後に財布を置き忘れたことに気がつき,5分後に財布を取りに戻ってきているような場合は,Aが財布をとった時点でVは財布の占有を容易に取り戻せる距離にいたといえます。

また,AはVが財布を落としたところからずっと様子を見ていることも考えると,Aは財布を置き忘れてから時間的・場所的に近接した時点で財布を領得しているといえるので,Vの財布に対する客観的支配はいまだ失われていないと考えることができます。

このような時間的・場所的近接性とベンチを離れてから数分後に財布を忘れたことに気づき公園に戻っていることからすれば,Vの財布に対する占有の意思はまだ失われていないと考えることができます。このようなことから窃盗罪が問題になると考えることができると思います。

他方,現場に戻ってくるまでに5分を要する状況では,時間的場所的近接性がなく遺失物等横領罪が問題となるという考え方もありうると思います。

この点,「公園のベンチにポシェットを忘れ200m離れたところで気がついたが,忘れるのを見ていた被告人により被害者が27m離れた時点で持ち去られた」という事案につき,最決平成16・8・25は,「本件の事実関係の下では~被害者が本件ポシェットのことを一時的に失念したまま現場から立ち去りつつあったことを考慮しても,被害者の本件ポシェットに対する占有はなお失われておらず,被告人の本件領得行為は窃盗罪にあたる」としています。一方で,「スーパーの6階のベンチに置き忘れた財布を地下1階で思い出して取りに帰った事案(その間およそ10分)」で占有を否定した裁判例(東京高判平成3・4・1)もあります。

なお,ある者(ここではV)が占有を失っても,その財物が建物の管理者など第三者の占有に移る場合には,その第三者に占有が移る結果,窃盗罪が問題となることに注意が必要です(遺失物等横領罪ではありません)。

具体的には,宿泊客が旅館内のトイレに財布を忘れた場合,その財布の占有は旅館主の占有に属することになると考えることができます。

誰でも立ち入りやすい場所に放置されていたか,それとも何らかの管理措置がとられていたかという点がポイントです。

窃盗罪の取調べ

【窃盗罪の取調べについて】
仮にAさんが,同時期に複数件の窃盗事件をおこしている場合,自分がいつどこで窃盗をしたか明確に記憶していないことも多々あります。

警察官などから「これもお前がやったのだろう」と言われて,いわれるがままに自白される方も少なからずいらっしゃいます。

しかし,記憶があいまいであるなら,覚えていないことは覚えていないと供述するべきです。取調べに際しては「黙秘権」や「調書にサインや指印しない権利」(署名押印拒否権),「調書の間違っている部分を直してもらう権利」(増減変更申立権)があります。取調べに不安のある方は,事前に弁護士に相談の上で,取調べにのぞむことも一考です。

不起訴処分の獲得

窃盗罪や遺失物横領罪のような被害者がいる犯罪では,被害者の方に謝罪や被害回復を図ることが不起訴獲得に向けて非常に重要であると言えます。

VARIATION
~ クレジットカードの不正利用 ~

Aさんが,Vの財布の中身を見ると,S信販会社のV名義のクレジットカードがありました。

Aは,Vさんが紛失届を出す前にこのクレジットカードを利用しようと思い,近くの美容院で高級トリートメントを購入し,Vさんのクレジットカードで支払いをしました。

美容院のスタッフがクレジットカード決済に応じた場合にAさんはどのような犯罪が成立するでしょうか(なお,Aさんは,売上伝票にVと署名している。また,S信販会社は立替払いに応じています)?

現代では,クレジットカードを利用する方が多く,財布の中にクレジットカードが入っていることも少なくありません。前述のように財布に関しては窃盗罪(あるいは遺失物等横領罪)が問題となるにしても,クレジットカードの不正利用に関してはどのような犯罪が成立するでしょうか?

1つ思い浮かぶのが詐欺罪です。

詐欺罪が成立するのは確かでしょう。実際,判例でも,他人のクレジットカードを使用した場合には,たとえ名義人の許諾がある場合でも,加盟店を被害者とする1項詐欺罪が成立するとしていることから,名義人の承諾がない本件のような事例では当然詐欺罪が成立することになります。

ただ,詐欺罪が成立するとして,その理論構成には様々な見解があり,信販会社を被害者とする2項詐欺罪説や加盟店を被害者とする1項詐欺罪説などがあります。

ここでは,1項詐欺罪説が成立する1つの考えを示したいと思います。そもそも,詐欺罪の成立には,①欺く行為②錯誤③処分行為④財物、財産上の利益の移転⑤財産上の損害が必要でこれらが客観的にも主観的にも因果の流れで結ばれていることが必要です。

そして,加盟店は代金支払の意思も能力もない者に対しては、信義則上当然に取引を拒絶しなければならないから,これを秘して加盟店に対してクレジットカードを呈示することは①欺く行為があると言えます。

また,②錯誤に陥った加盟店が商品を交付する行為が③処分行為にあたり,④Aさんは高級トリートメントを取得しており財物の移転もあります。

加えて,⑤加盟店が欺罔されなければ交付しなかったであろう商品を交付したことが財産上の損害もあることから加盟店(美容院)に対して1項詐欺罪成立すると考えることができます。

【売上伝票の記載について】

Aが売上表に署名し美容院のスタッフに提出している点については,私文書偽造罪(刑法159条1項)および,同行使罪(161条1項)が成立しこの2つは牽連犯になります。そして,上記詐欺罪(1項詐欺罪)とが牽連犯になります。

※牽連犯:犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れる場合をいいます。牽連犯については,その最も重い刑により処断されます。具体例としては,上記のような偽造文書と詐欺罪のほか,「住居侵入罪と窃盗罪」を挙げることができます。

少年事件

本件で羽曳野市在住のAが20歳未満(少年)の場合,少年法が適用となります。

つまり,少年事件の流れにのることとなります。少年事件は成人とは違った手続きですので注意が必要です。

【少年事件の流れ】
少年事件は,20歳未満の少年が対象です。

まず,警察や検察が犯罪を行ったかを捜査し,次に,家庭裁判所が,少年自身や家庭環境,生活環境などを調査し,少年に対する処分を決めるというのが流れです。

少年でも,証拠を隠す恐れがあったり逃げる危険があるときには,逮捕されるおそれがあります。

そして,少年事件では,全ての事件が家庭裁判所に送られます。家庭裁判所は,犯罪の内容,家庭環境,生活状況,家族関係,交友関係などを調査し,その上で少年に対する処分を決めます。

【裁判所の管轄について】
少年Aは羽曳野市に在住のため,仮に少年が家庭裁判所に送致されるとした場合,大阪家庭裁判所堺支部が管轄となります。少年がどこに住んでいるかによって裁判所の管轄が変わってくるため,管轄についても注意を要します。

お子様が少年事件を起こしてお困りの方

窃盗事件における弁護活動

  • 1
    取調べに向けてのアドバイス

弁護士が嘘の自白調書やニュアンスが違った調書が作成されないようアドバイスします。

  • 早期の身体拘束解放活動

窃盗事件は逮捕・勾留されることも少なからずあります。身体拘束が長期化すると、会社や学校に行くことができなくなります。そのため,早期に身体拘束解放に向けて活動を行うことが重要となります。

  • 被害回復

窃盗事件で警察に逮捕や捜査された場合,早い段階で弁護士に相談し、被害者に謝罪することや、示談して解決することが、窃盗事件を解決するにあたり重要となります。

さらに,被害者が被害届の取り下げをすることにより,不起訴処分を獲得しやすくなりますし,不起訴処分であれば前科も付きません。

  • 公判準備活動
    不起訴処分や執行猶予獲得等,少しでも有利な処分が出るよう活動

藤井寺法律事務所は,広く近畿圏からご相談・ご依頼をいただいており,弁護士が直接「初回無料相談」を行います。刑事事件はスピードが命です。早期に弁護士にご相談され,早めに対策をたてることが有利な結果へとつながりやすくなります。一人で悩まず,ぜひお気軽にお問合せ・ご相談ください。

身体拘束された事件では,最短電話いただいた当日に弁護士が直接本人のところへ接見に行く「接見サービス」もご提供しています。

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当事務所の弁護士は少年事件の経験も豊富です。お子様が逮捕されたり,捜査を受けたり,少年鑑別所にいくかもしれないなど,ご不安な点があればご相談ください。少年事件は成人と異なる弁護活動が必要となる場面が多々あります。適切な見とおしとともに今後の再非行防止策などについてアドバイスさせていただきます。

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