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少年事件は成人の事件と異なる特殊性があります。虞犯(ぐ犯)少年もその1つです。
成人であれば警察が動かないものでも,少年の場合には保護・教育の点から児童相談所や家庭裁判所による指導が行われることもあります。そこで,今回はぐ犯少年について記載しますので参考になさってくださいませ。
ぐ犯少年って何?
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中学3年生のA子は,ある出会い系サイト(ベリーズオンサイト)を通じて知り合った男の人と援助交際をしてお金を稼いでいました。学校も不登校気味で家にも帰らないことが多く,稼いだお金は遊ぶことやブランド物の服を買う等という生活を続けていました。
ある日,夜中に大阪の街をうろうろしていたところ,警察官から職務質問を受けて補導され,虞犯少年(ぐ犯少年)として家庭裁判所に送致されました。
虞犯(ぐ犯)とは,未だ犯罪行為には至らないが,不良行状が認められる場合に保護・教育の必要等の観点から,将来を予測して,審判・保護処分の対象とされるもので,少年法特有の制度です。
ここで,ぐ犯は犯罪ではありません。しかし,少年法はこれを家庭裁判所の審判に付することとしています。つまり,少年事件の手続きが進められていくことを示しています。
これは,未だ犯罪行為にまでは至っていないが不良な行為をしている少年を早期に発見して適切な保護を加えることにより,少年の健全な育成を図り,犯罪の発生をあらかじめ防ぐことを目的としています。
例えば,家出中の不良交友や問題行動等で補導されるのが典型事例といえます。
ぐ犯少年とは,上記のの①②③④の事由(ぐ犯事由,少年法3条1項3号イないしニに定められている一定の事由「ぐ犯事由」)があって,その生活又は環境に照らして,将来,罪を犯し,又は刑罰法令に触れる行為をするおそれ,すなわち「ぐ犯性」のある少年のことをいいます。
①保護者の正当な監督に服しない性癖のあること
保護者の正当な監督に服さない傾向があること(例えば犯罪に至らない家庭内暴力等)をいいます。
②正当な理由がなく家庭に寄り付かないこと
少年の性格,年齢,家庭の状況等を総合して,少年が家庭に戻らないことに正当な理由がない場合をいいます。
③犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し,又はいかがわしい場所に出入りすること
暴力団,暴走族など反社会的組織や集団に属したり,不健全な風俗営業や犯罪者などが関係する場所などに出入りすること等をさします。
④自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること
性的悪癖など,倫理的に外れる行為を自らなし又は他人にさせるような行動傾向・習癖があることをさします。上記事例は②や④にあたり得ります。
ぐ犯事件の手続きの流れは下記のようになります。
なお,2022年4月施行の改正少年法の下では,18・19歳の少年(特定少年)については,ぐ犯の規定は適用されないこととなりました。
児童又は保護者への訓戒,誓約書の提出,児童福祉司等の指導,児童福祉施設入所措置,里親委託があります。なお,家庭裁判所の審判に付するのが相当であると判断した場合には,事件を家庭裁判所に送致する手続きを取ります。
令和4年4月1日から施行された少年法では,現在,20歳未満としている「少年」の定義は維持した上で,18歳・19歳の者について,少年法の適用対象である「少年」と位置づけ「特定少年」と呼ぶこととしています。
原則として,特定少年についても,現行少年法の基本的枠組みを概ね維持していますが,保護処分は,6月の保護観察,2年の保護観察,少年院送致(3年以下の期間を定める)の3種類とすることとなりました。
本件のAには少年法が適用となります。そして,Aが羽曳野市等にお住いの場合,少年が家庭裁判所に送致されると大阪家庭裁判所堺支部が管轄となります。
少年がどこに住んでいるかによって裁判所の管轄が変わります。
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