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住居侵入罪・緊急避難
~ 虎の尾を踏む若者 ~
次のような八尾市の住居侵入罪の事例(フィクション)があるとします。
最近,良いことがなく,むしゃくしゃしている若者A(21歳)がいました。Aは大学生ですが,将来の夢がなかなか見つからず,これといって熱中するものがなく悶々とした日々を過ごしていました。
高校時代にあこがれた大学に合格し入学したのですが,大学生活はAが思い描いていたものと随分と異なっていたようです。趣味は最近始めたギャンブルですが,負けが続いています。バイト代はギャンブルに消えてしまいます。今日も,パチンコに行きましたが,またしてもすってしまいました。
Aは今日も嫌な気分のまま家に帰っていました。Aの帰路の途中にはXさんの家があります。Xさんは大型犬を飼っており,その犬が起きているときの顔が険しく虎のようないで立ちから「赤虎」と名付けられていました。なお,赤虎は自宅の庭に鎖でつながれています。もっとも,赤虎はいつも静かで,吠えたところを見た人がいません。寝ているときはかわいい顔をしています。
Xさんは時折,赤虎を散歩に連れ出していたこともあります。近所でも赤虎は有名です。近所の人が赤虎の頭をなぜると赤虎はうずくまって目を閉じます。けなげで,かわいいと評判の犬です。
Aがパチンコで負けてむしゃくしゃした気分のまま帰っていたところ,Xさんの家に差し掛かりました。庭には赤虎が座っていました。Aは「俺はこんなにしんどいのに,こいつは呑気でいいな。」「こいつの顔は虎に似ているけど,こいつは根性なしの犬だ」と思い,Aは落ちている石を拾って赤虎(犬)に向けて投げつけました。
石は赤虎にあたりませんでしたが,これまで物静かにしていた赤虎が急に怒り出し,鎖を切って襲いかかってきました。
Aは,このままではやばいと思い,逃げ場もないため,とっさに隣家Vの庭へ飛び込みました。赤虎はAが庭に逃げ込んだのを見ると,落ち着きを取り戻し,Xの庭にもどり眠り始めました。
(上記事例はフィクションです)
上記事例で,Aに成立する犯罪として考えられるのは住居侵入罪です(刑法130条前段)。
ここで,130条前段を見てみると,次のようなことが書かれています。
「正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入した物は,3年以下の拘禁刑(※)又は10万円以下の罰金に処する。」
本件でAは,いきなりVさんの庭に飛び込んでおり「人の住居」に「侵入し」といえ住居侵入罪が成立するようにも思えます。
(※)拘禁刑とは,2022年6月17日公布の改正刑法により,従来の懲役と禁錮を一本化したものとして創設された2025年6月1日施行の新しい刑の種類です。
もっとも,Aさんは,赤虎(大型犬)が急に襲い掛かってきたのでやむなくVの居間に逃げ込んでいますが,このような場合でも住居侵入罪が成立するのでしょうか?
自分の身を守るために,やむなく他人の庭に逃げ込んだ場合も住居侵入罪が成立するのでしょうか。ここで,刑法では「緊急避難」というものがあります。
刑法37条1項本文には次のような規定があります。
「自己又は他人の生命,身体,自由又は財産に対する現在の危難を避けるため,やむを得ずにした行為は,これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り,罰しない。」
この条文から緊急避難の要件を検討すると次のように考えることができます。
【緊急避難の要件(※)】
①自己又は他人の生命・身体・財産又は自由に対する「現在の危難」を
②「避けるため」
③「やむを得ずにした行為」
④「これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えない」
(※)③の「やむを得ずにした行為」とは補充性の原則と言われ「当該避難行為をする以外には他の方法がなく,かかる行為に出たことが条理上肯定しうる場合(最大判昭24.5.18)」でなければならないと解されています。また,④「これによってしょうじた害が避けようとした害の程度を超えない」とは,法益の権衡といわれます。
本件については,あてはめの仕方には様々な考え方があるところですが,Aは大型犬が襲ってきたので「現在の危難」はあります。
また,Aは逃げ場がなくて,やむなく隣家のVの庭に飛び込んだのであり補充性も満たすと考えることもできます。さらに,Aが守ろうとした利益(法益)は生命・身体である一方,Vが侵害された(法益)のは住居の平穏と考えられ,法益権衡も満たすと考えられます。
そのため,緊急避難の要件を満たすと考えることができます。
もう少し立ちいって考えてみると,本件において本当にAさんに緊急避難を成立させてよいのでしょうか?
というのも,赤虎が襲い掛かってきたのは,Aさんがいたずら半分に石を投げつけたことが原因です。
このようなAさんに緊急避難をみとめてよいのでしょうか?
つまり,自分から危難を招いておいて緊急避難が成立すると考えるのはおかしいのではないでしょうか(自招危難の問題)?
これについては,1つの考えとして下記のようなものがあります。雑駁に言うと,Aさんの行為を全体的に観察し,緊急行為として社会的に相当だと判断できる場合には,緊急避難が成立するという考え方です。
この考え方やあてはめの仕方には様々な意見があるところですが,Aさんにとっては予想外に大きな危難を招いており,Aさんの行為を全体的に観察すると,Aさんの行為は社会的に相当であり,緊急避難が成立すると考えることも可能です。
上記事例において,裁判例(大阪高判平成10年6月24日)は緊急避難の成立を否定しました。まず,補充性については,逃走の手段として放火する以外に他にとるべき方法がなかったとは言えないとし,法益権衡についても,放火行為により不特定多数の生命,身体,財産の安全,すなわち公共の安全を現実に犠牲にすることは,法益の均衡を著しく失するとしました。
「逮捕」とは,被疑者の身体を強制的に拘束し,指定の場所に引致することをいいます。
逮捕には,「令状による逮捕」(「通常逮捕」「緊急逮捕」)と令状にもとづかない「現行犯(準現行犯逮捕)」とがあります。住居侵入罪についても,取調に対する対応や罪証隠滅などを考慮して逮捕されるケースも少なからずあります。
住居侵入罪など被害者がいる犯罪では「示談」が今後の処分にあたりポイントとなってきます。示談は,刑事事件において,被疑者・被告人に有利な事情として考慮されることが多々あります。
例えば,検察官の終局処分の前に示談が成立すれば,不起訴処分につながりやすくなります。また,起訴後であれば、執行猶予付きの判決や量刑に大きな影響を与えます。なお,被疑者等が捜査機関に対し被害者の連絡先を聴いたとしても,教えてもらえないことが多いです。
そこで,弁護士介入の意味があります。弁護士が間に入ることにより,捜査機関より,被害者の承諾・了解を取ったうえで,被害者の連絡先を教えていただける場合が少なからずあります。
このため,弁護士に依頼することにより被害者と連絡を取る道を開くことが可能となります。なお,加害者が事件の被害者と直接交渉を行うと,被害者の気持ちを逆なでして示談交渉が決裂したりすることもありえます。弁護士が間に入ることにより,冷静な交渉で納得のいく示談金額による解決が図りやすくなります。
住居侵入罪の不起訴事例をご紹介します。
同居されている方が逮捕されたとの連絡を受け,弁護士が接見に赴きました。逮捕されたご本人は、身柄拘束期間が伸びることによって退職のおそれがあることを懸念されていました。
逮捕された方は,解雇や退学の不安を抱えられる方が多くおられます。そのため,早急な対策が必要となります。
ご依頼後,弁護士が被害回復活動に着手するとともに,本人の誓約,ご家族等による再発防止策を立てた結果,早期の釈放につなげることができました。また,依頼者の誠意が伝わり,結果として不起訴処分で終結しました。
自白事件の場合,被害回復と再犯防止策の検討が重要となります。本件では,早期のご依頼が功を奏したこともあり,早期の社会復帰及び不起訴処分獲得が可能となりました。
藤井寺法律事務所は,広く近畿圏からご相談・ご依頼をいただいており,弁護士が直接「初回無料相談」を行います。刑事事件はスピードが命です。早期に弁護士にご相談され,早めに対策をたてることが有利な結果へとつながりやすくなります。一人で悩まず,ぜひお気軽にお問合せ・ご相談ください。
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